こんにちは。株式会社識学の安藤広大です。
「人生で一番大事なことは何か」。
非常に抽象的で、多くの人が答えのない迷路に迷い込みそうな問いですね。しかし、私、そして識学(しきがく)の観点からすれば、その答えは極めて明確であり、論理的に導き出すことができます。
それを一言で表すなら、「事実を直視し、成長し続けること」です。
もう少し解像度を上げて言えば、「自分自身が抱く『錯覚』を取り除き、完全なる『結果』によって自分の価値を証明し続けること」。これに尽きます。
多くの人は、「愛」や「幸せ」、「自分らしさ」といった言葉を人生の最重要事項に掲げます。もちろん、それらを否定はしません。しかし、それらはあくまで結果として手に入る状態であって、目的として追い求めると、人生は必ず「迷い」が生じます。なぜなら、それらは定義が曖昧で、数値化できないからです。
それでは、私が考える「人生の真実」について、少し厳しく聞こえるかもしれませんが、徹底的に言語化してお伝えしましょう。これが、あなたの人生のノイズを消し去る一助になれば幸いです。
🚀 第一章:「感情」というノイズを捨て、「事実」を見る
人生において人々が最も時間を浪費しているもの。それは「無駄な感情」の処理です。
「あの人は私のことをどう思っているんだろう」「頑張っているのに評価されない」「やる気が出ない」……。
はっきり言います。これらはすべて、人生における最大のノイズです。
多くの人が「モチベーション」を大事にしすぎです。「モチベーションが上がらないから行動できない」というのは、順序が逆です。人は、行動し、結果が出たときに初めてモチベーションが上がる生き物なのです。やる気があるからやるのではなく、やるべきことを淡々とやるから、あとから感情がついてくる。
人生で大事なのは、この「感情と行動の切り離し」です。
例えば、あなたが何かの目標に向かっているとします。そこで「不安だ」と感じる。その感情自体には何の意味もありません。意味があるのは、「目標に対して、現在の数字が足りているか、足りていないか」という「事実」だけです。
足りていないなら、行動量を変えるか、やり方を変えるか。選択肢はその二つしかありません。そこで「つらい」とか「わかってほしい」という感情を挟むから、足が止まるのです。
事実だけを見る。これは冷徹なことのように思えるかもしれませんが、実は自分自身を最も守る行為です。他人の顔色や、不確かな未来への不安という「幻」に怯える時間をゼロにし、「今、目の前にある事実」だけに集中する。これこそが、精神的な安定と、確実な成長をもたらします。
🎭 第二章:「良い人」を辞め、「仮面」を被れ
私の著書『リーダーの仮面』でも触れましたが、人生においても「仮面」が必要です。それは、自分を偽るということではありません。「役割」に徹するということです。
社会の中で生きる以上、私たちには必ず「位置」があり、果たすべき「役割」があります。会社なら職位、家庭なら親や子としての役割。
人生がうまくいかない人は、この「役割」よりも「個人としての自分」を優先させようとします。「素の自分を見てほしい」「ありのままを受け入れてほしい」と願う。
しかし、社会という集団の中で評価されるのは、「その人が役割を果たしたかどうか」という一点のみです。
「誰からも好かれたい」という欲求は、人生を破壊します。
「良い人」でいようとすると、他人の領域に踏み込んだり、逆に踏み込まれたりして、人間関係の摩擦熱で消耗します。
大事なのは、「好かれること」ではなく、「必要な存在であること」です。
「あの人は愛想は良くないが、仕事は完璧だ」「あの人は厳しいが、約束は絶対に守る」。このように、機能としての信頼を積み重ねること。これが、結果的にあなたを守る鎧となります。
孤独を恐れてはいけません。むしろ、馴れ合いの集団から抜け出し、孤独に「結果」と向き合う時間こそが、あなたを成長させます。成長した先でしか見えない景色があり、そこでしか出会えないレベルの高い人間関係があります。
「寂しさ」を埋めるための人間関係は、足を引っ張り合うだけの傷の舐め合いです。そんなものは切り捨てて、自分の役割を全うすることで得られる「成果」でつながる関係を目指すべきです。
📊 第三章:「数値化」できないものは、存在しないと思え
人生をコントロール不能なものにしている最大の要因は、「言葉の曖昧さ」です。
「もっと頑張る」「できるだけ早く」「誠意を見せる」。
これらの言葉は、何も言っていないのと同じです。
人生で大事なのは、すべてを「数値化」して捉える思考法です。
「頑張る」ではなく、「1日10件のアポイントを20件にする」。「できるだけ早く」ではなく、「15時までに提出する」。
自分自身の人生も同様です。「いつか幸せになりたい」ではなく、「60歳までに資産を〇〇円作り、週に〇日は趣味の時間に充てる」と定義する。
数字は残酷です。今のあなたの実力不足を、言い訳の余地なく突きつけてきます。だから人は数字から逃げ、「質感」や「情緒」に逃げ込みます。「数字じゃ測れない大切なものがある」と言いたがる。
ですが、あえて言います。数字で測れないものは、少なくとも成長のプロセスにおいては存在しないものとして扱うべきです。
自分の不足(=現実)を数字で突きつけられたとき、人は初めて「どうすればその差を埋められるか」を思考し始めます。この「不足の認識」こそが、エネルギーの源泉です。
「自分はまだまだだ」と正しく絶望すること。そして、「あと数字をいくつ積み上げればいいのか」を計算すること。
これができる人だけが、人生を自分の手でコントロールできます。数字という共通言語を持たない限り、あなたは他人の感覚や、社会の空気に流され続けることになります。
⛓️ 第四章:「自由」とは、ルールの中にしかない
多くの人が「自由」を求めています。しかし、「自由」とは何でしょうか?
好き勝手に振る舞うことでしょうか? ルールに縛られないことでしょうか?
違います。それはただの「無法」であり、動物的な「迷走」です。
私が考える人生で大事なことは、「規律(ルール)の中での自由」を知ることです。
信号機があるから、私たちは安心して交差点を渡れます。法律があるから、安心して商売ができます。
個人の人生においても、自らにルールを課すことが不可欠です。
「毎朝6時に起きる」「決めたタスクが終わるまで帰らない」「感情で判断しない」。
こうした自分自身のルールを守り抜くこと。その制限の中で、いかにパフォーマンスを出すかを工夫すること。そこから生まれるのが、真の自由です。
また、経済的な自由や選択の自由は、すべて「結果」を出した人間にのみ与えられる配当です。
「結果」も出していないのに「自由」を権利として主張するのは、ただの幼児性です。
社会や組織のルールを遵守し、求められる成果を出し、誰よりも稼ぐ。そうして初めて、「誰と付き合うか」「どこに住むか」「何をするか」を選ぶ権利、つまり「自由」が手に入ります。
自由とは、戦い取った「獲得物」であり、最初から与えられているものではないのです。
📈 第五章:人生の目的は「生存」ではなく「進行」
最後に、少し視座を広げましょう。
生物としての目的は「生存」かもしれません。しかし、人間としての人生の目的は「進行(成長)」にあります。
昨日できなかったことが、今日できるようになる。
知らなかったことを知り、扱えなかった問題を解決できるようになる。
この「変化」こそが、生きている実感の正体です。
現状維持は、退化です。なぜなら、環境は常に変化しているからです。
「今のままでいい」と思った瞬間に、あなたは社会から、そして人生というベルトコンベアから転がり落ちていきます。
「成長」というと、「疲れる」「大変だ」と思うかもしれません。
ですが、逆です。
成長しないまま、実力がつかないまま年齢を重ねることほど、恐ろしく、疲れることはありません。
実力がないまま40代、50代になれば、選択肢は狭まり、誰かに頭を下げ続け、環境に文句を言い続けるだけの人生になります。それは本当の意味での「地獄」です。
若いうちに、あるいは「今」この瞬間に、負荷をかけ、ストレスをかけ、自分の能力を引き上げる。
識学的に言えば、「有益なストレス」を自分に与え続けること。
これだけが、将来のあなたを救います。
🌟 結論:正しく恐れ、正しく動け
人生で一番大事なこと。
それは、「自分自身に対する甘え(錯覚)を殺し、事実という土台の上で、結果を積み上げ続けること」です。
そこに「癒やし」はないかもしれません。しかし、そこには確固たる「手応え」があります。
誰かの言葉に一喜一憂せず、自分の感情に振り回されず、ただ目の前のやるべきことを、ルール通り、淡々と、数値にこだわって実行する。
そうやって積み上げた「結果」だけが、あなたを裏切りません。
お金も、地位も、信頼も、そして本当の意味での自己肯定感も、すべては「結果」の付属品です。
迷ったら、数字を見てください。
悩んだら、自分の役割を確認してください。
そして、今日、あなたが積み上げた行動が、昨日のあなたを超えているか、それだけを問うてください。
人生はシンプルです。
やるか、やらないか。
事実を見るか、幻を見るか。
あなたが「幻」を捨て、冷徹なまでの「事実」とともに、素晴らしい高みへ登っていくことを期待しています。
さあ、位置について。やるべきことをやってください。
以上です。
💡 あなたへのネクストステップ
もし、あなたが今「現状を変えたいが、何から手をつけていいかわからない」と感じているのなら、まずは「自分の人生の数値を棚卸しする」ことから始めてみてはいかがでしょうか?
具体的には以下の作業です:
- 時間の数値化: 1週間のうち、何に何時間使っているか記録する(「なんとなく」の時間をあぶり出す)。
- 目標の数値化: 「幸せになりたい」といった曖昧な目標を、「年収〇〇円」「体重〇〇kg」「読書数〇冊」など、達成したかどうかが誰の目にも明らかな形に変換する。
これを行うだけで、あなたの「今やるべきこと」と「不足」が明確になります。